大学院教育発達科学研究科・教育学部
〒464-8601
名古屋市千種区不老町
052-789-2606(入試・学生関係)
052-789-2377(各種証明書関係)
052-789-2602(その他)
052-789-2666
: 教育科学専攻 :
大学院生の研究活動(博士後期課程)
日本では従来、文科系の研究領域での博士学位は、自分の学問体系を樹立したような大学者、いわゆる碩学泰斗に与えられるものだとみなされていた。そのため文科系では、自分の背の高さまで積み上げられるほど本を書いてはじめて学位が取得できるなどとさえ言われることもあった。そもそも国際的にはずいぶん以前から、博士学位はむしろ、自立して研究を営む研究者としての基礎資格のようにみなされてきたにもかかわらず、日本の文科系の学問の世界では、この考え方はなかなか浸透しなかったのである。
しかし、博士学位に関する考え方は、日本の教育学の世界でも、近年、急速に変化してきた。どの大学院でも、後期課程で十分な研究成果を上げた者に、博士学位を授与(課程博士)できるようなプログラムを検討するようになったのである。
本専攻でも、この問題について積極的に検討を重ねてきた結果、一昨年度の後期課程入学生から、下記のような博士学位論文作成のための、指導および審査制度を適用することになった。この制度では、学生が、より幅広く、かつ柔軟な指導を受けられるように、複数講座にわたる指導教官グループの指導を受けるようになっているのも、ひとつの特徴である。後期課程学生は、これにもとづいて生産的に研究を進め、その成果を口頭発表や論文のかたちでそのつど世に問いながら積み重ね、博士論文の完成に向けて、着実に研究を進めていくことが期待される。
なお、制度が確立したとはいっても、学位取得つまり博士論文の完成には、相応の努力が必要である。本専攻では、博士学位授与に値する学問的成果とは、その研究分野に学問的貢献をし得る研究成果を上げることだと考えている。具体的には、査読のある学会誌等の学術誌に、論文が一編以上掲載されることを、学位授与のために必要な、外的で客観的な基準としている。これを達成するためには、各自が当該の専門領域のこれまでの研究成果を十分に消化した上で、独創性ある研究を打ち立てていかなくてはならない。スタッフもそのために最大限の努力をしている。後期課程学生は、指導教官グループの指導を受けながら、博士学位取得を目的として研究に遭進することを期待する。
なお、課程博士は、後期課程に3年以上在籍した者が、入・進学後6年未満に取得できるが、さまざまな事情でこれを取得しなかった場合には、博士論文の提出によって課程外博士(論文博士)を取得する可能性が残されている。この場合には、博士論文の構想をそれまでの業績等とともに提出して、指導・助言を受けて論文の完成をめざす「博士学位予備審査制度」が用意されており、これを活用することができる。
以下に、これまで提出された博士学位論文のタイトルのいくつかを掲げる.これらには、論 文博士を含んでいるので、包括的で大きなテーマも存在するが、課程博士の取得のためには、 一定期間で研究をまとめ上げることの可能なテーマ選定と研究方法の選定が必要である。
最後に、博士論文作成指導と審査のプログラムを掲げる。この制度は、学位取得を格段に促進することを目的としている。後期課程学生は、指導教員団の指導のもと、この制度を活用して研究を進め、博士学位を取得することが期待されている。
段階 | 期日 | 具体例 | 内容 |
プロポーザル段階 | D1の5月末日 | D1・5月 | 〈「研究計画」の提出〉 学修案内に記載されている書式に従って「研究計画」を作成し、教育科学専攻事務室に提出する。 正指導教員は、「研究計画」にもとづき、複数の研究領域から2~3名の論文指導教員(指導教員団)を専攻担当者会議に提案し、承認を受ける。 |
D1の9月以降は 随時 |
D1・9月 | 〈「博士論文構成概要」(プロポーザル)の提出〉 学修案内に記載されている書式に従って「博士論文構成概要」(プロポーザル)を作成し、正指導教員に提出する。その構成には紀要論文・レフェリーつき学会誌論文の投稿計画が含まれていること。 ↓ 指導教員団が書類審査および面接(口述)を行い、指導の上、審査の合否を判定する。 ↓ 正指導教員は、指導教員団全員の署名捺印のある「審査報告書」を付して、専攻担当者会議に提出し、承認を受ける。 ↓ 公開発表会で発表する(日時はその都度決定する)。 |
|
所定の単位 を修得した後 |
D3・9月 | 〈研究指導の認定〉 「研究経過報告書」を作成し、正指導教員に提出する。 正指導教員は、指導教員団の署名捺印のある「研究経過報告書」を研究科委員会へ提出し、「研究指導の認定」の承認を受ける。 |
研究科委員会で 「研究指導の認定」が 承認された後 |
D3・10月 | 〈博士論文提出資格の審査〉 学位申請のための書類を作成する。書類のうち、1)学位申請書、2)主論文の要旨、3)履歴書、4)研究業績一覧、5)主論文(仮製本)を専攻担当者会議に提出し、博士論文の提出資格の審査を受ける。研究業績一覧には、原則として採録もしくは採録決定されたレフェリーつき学会誌論文が1編以上含まれていること。 |
学位審査段階 | 専攻担当者会議で 博士論文の提出資格が 承認された後 |
D3・10月 | 〈博士論文提出〉 専攻担当者会議で提出資格が承認された後、学位申請のための書類をすべてそろえ、ただちに学位申請手続きを行う。 研究科委員会で学位審査委員の選出が行われる。 |
審査委員会に よって決定 |
D3・2月 |
〈博士論文最終口述試験〉 |
|
D3・3月 | 〈博士学位授与〉 |
|