大学院教育発達科学研究科・教育学部
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名古屋大学大学院教育発達科学研究科・教育学部 : 教員紹介 : 教育科学専攻 : 相関教育科学講座 :
松下 晴彦
専門領域について
Q どのようなきっかけでこの学問を始めたのですか?
もともと理科系の学問研究を志望していたのですが、自然科学と社会科学の境界領域ともいえるような分野、例えば、村上陽一郎さんの科学史・科学哲学に出会って、その種の雰囲気をもつ学問研究も面白いなと考えたのがきっかけです。教育科学は、親学問的な地位をめざしつつ、他の諸学問との境界領域における成果をメリットに変えつつ発展しているところが面白いと思っています。
現在の研究について
Q 現在の主要な研究の内容を教えてください
1)教育哲学研究における言語論的アプローチ。
言語は、研究の枠組みを問題にするときの鍵となると捉えています。
2)表象概念を中心とした教育的認識論の研究。
昨今、いろいろな意味で「表象」がキーワードになりつつあります。「表象」概念から教育を照射する試みです。3)多文化的状況における倫理的諸問題の研究。倫理学は長い歴史ももつ分野ですが、グローバル化とポスト・コロニアリズムといわれる状況において、従来の倫理学的問題の立て方は、どの程度妥当であるのかといった問題について研究しています。
Q 今までの研究で一番心に残っている出来事、ハプニングを教えてください
今もそうですが、典型的なprocrastinator で、原稿の準備等、期限が迫ってもなかなか計画的に進められないタイプの人間です。出版社とか編集をされている方に何度も迷惑をかけてしまった経験があります。
講義について
Q 授業のねらい、背景を教えてください
「人間形成学講義IV」(学部)
この授業では、人間形成学における主要な課題、「国家と教育」「個人と社会」「心の習慣」「価値(社会的正義)の教育」「認識(論理と判断)の教育」に対する関心を深め、それらを探究するための知見と方法を学ぶことを目的としています。
この目的のために、今期は、アメリカ教育の軌跡と文化政治学を題材に授業を展開します。
具体的には、20世紀初頭から現代に至るアメリカの政治、経済、文化、教育の諸相のなかに、人間形成に関する基本的な考え方(哲学、思想)、個と社会に関する考え方を学んでいきます。具体的な題材として、アメリカ民主主義の展開と変遷、イデオロギーの対立(保守とリベラル)、自由主義と共同体主義の対立、アメリカの統合原理(多様性の中の統一)、コミュニティ概念、人間関係資本・社会資本の捉え方、国際関係・外交、普遍主義的な考え方と多文化主義・相対主義的な考え方などを取りあげ、時系列的にまた同時代的に学んでいきます。
学生へのメッセージ
Q 求められる学生像を教えてください、またその他なんでも結構です。
自分がどこにいて、どの方向に向かっているのか。自分が対人関係の中で、社会の中で、どのような位置にあり、どう見られているのか(結局は、どのように未来の社会に貢献できるのか)。そうした視点もつために心の中に<ジャイロスコープ>を持ちましょう。
指導生・受講生からひとこと
仕事をどんどんこなしてヴァイタリティあふれるのが松下先生です。ご専門は英米の言語哲学や認識論で、この頃は多文化主義にも関心を寄せていらっしゃいます。ゼミでは、私たちが気づかなかった点を鋭く指摘して、議論を深めるよううながしてください
ます。また幅広く深い学識で、私たちのあやふやで拙い研究をたちどころに見事に導いてくださいます。ご趣味も多様で、そのグルメぶりには脱帽です。よくなさるという手料理を一度味わってみたいものです。
国際社会の教育と文化
講義は、その時はすぐには理解できなくても後からジワッとくるような内容です。先生自身がすごく良く研究されており、博識ぶりが伝わってくる。普段あまりなじみのないようなことも、異なる視点を呈示してくれ、視野が広がったように感じました。
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