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シンポジウム・研究会報告

科研第3回研究会

2012年4月7(土) 13:00- 8日(日) 15:00
(名古屋大学大学院教育発達科学研究科 教育学部本館1階 小会議室)


・2011年度の調査報告と2012年度の調査計画

・国際会議の打ち合わせ(11月にスウェ−デンから2名の研究者を招聘する計画)

・科研報告書の発行について

・小研究会について


出席者:松田武雄、李正連、上野景三、大串隆吉、太田美幸、河野明日香、藤村好美、益川浩一、他3名


【研究会報告】

本研究会では、各メンバーの2011年度の調査報告と2012年度の調査計画、11月の国際会議の検討、科研報告書と今後の研究会の打合せが行われた。2011年度の調査報告と2012年度の調査計画については、メンバー各自が担当するフィールド(スウェーデン、アメリカ、アイルランド、ドイツ、カンボジア、日本、韓国、ウズベキスタン)を基にした報告がなされ、質疑応答や討論が行われた。その他、科研報告書の作成や、今後も継続して研究会を行っていくことが確認された。

第4回の研究会については、トップページの「科研 第4回研究会のお知らせ」を参照されたい。


[記:河野明日香・名古屋大学大学院教育発達科学研究科]

科研第2回研究会

2012年3月3日(土)13:30-17:00
(名古屋大学大学院教育発達科学研究科 教育学部本館1階 小会議室)


藤村好美(群馬県立女子大学)

「アメリカにおけるコミュニティ・ガバナンスと社会教育福祉に関する調査報告
—オレゴン・メトロ政府の広域行政システムとシアトル公共図書館の社会サービスについて—」


司会者:松田 武雄(名古屋大学大学院教育発達科学研究科・教授、本科研代表)
出席者数:12名


【研究会報告】

今回の報告では、2012年1月に実施したアメリカ調査の中から、シアトル公共図書館の社会教育福祉的側面及びオレゴン・メトロ政府の広域行政システムについての発表がなされた。報告は大きく第I部「メトロ政府の広域行政システム」と第II部「シアトル公共図書館の社会サービスの2つに分かれており、全体を通して、アメリカにおける広域行政とコミュニティ・ガバナンス、アメリカ都市部における居住環境と社会福祉、アメリカにおける人種による住み分けという実態と住民自治のパラドックス、コミュニティの学びの仕組みとしてのサービス・ラーニングといった問題が扱われた。資料は、アメリカ行政関係資料や現地調査で収集されたオレゴン・メトロ政府やシアトル公共図書館関連の資料のみならず、現地でのインタビュー調査や施設での参与観察に基づいた多彩なデータが提示された。


質疑応答では、第I部の報告に対しては、「メトロ政府が行う基盤整備には文化的なものも含まれているのか」、「市民参画のための委員会について、例えば日本の長野県松本市の場合は地域づくり協議会を作って市民の方にも地域づくりに参加してもらうといった取組みがなされているが、今日の報告のメトロ政府については、市民参画の委員会が現実的にどう機能しているのか」などといった質問が出された。続く第II部の報告に対しては、「日本の図書館とは違い、開かれた公共図書館という場所にホームレスの人々が集まるということに驚いた。ホームレスの人々の寝る場所といっただけでなく、溜まり場といった心の拠り所になっているのか?」、「公共図書館運営の財源について、図書館債や寄附以外に税金も入っているのか」などのさまざまな質問が出され、活発な議論が行われた。また、「新たな視点で、日本を考える上でも参考になる」といったコメントも出された。


本科研では、コミュニティ・ガバナンスと社会教育福祉のテーマのもと、今後も世界11カ国の国際比較が予定されているが、アメリカでの現地調査に基づいた本報告は研究方法やアメリカの実情との比較など、非常に示唆に富むものであると考えられる。なお、報告の詳細やアメリカ現地調査の報告については、本サイトに掲載している資料(PDF形式:14.2MB)調査・国際交流等欄を参照されたい。


[記:河野明日香・名古屋大学大学院教育発達科学研究科]

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