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アメリカ調査報告(2012年1月27日 藤村好美・群馬県立女子大学)

2012年1月1日~1月9日にかけて、アメリカ、ワシントン州シアトル及びオレゴン州ポートランドとコルヴァリスにおいて、地方政府の広域行政とコミュニティ・ガバナンス及び都市における社会教育福祉に関する調査を行った。その概要は以下の通りである)。 なお、番号は今回の訪問の順となっている。

1. シアトル公立中央図書館(Seattle Public Library, Central Library):ワシントン州シアトル

開館時刻の午前10時より少し前に図書館の入り口に行くと、沢山のホームレスの人々(そのほとんどが男性)が開館を待っていた。開館と同時に、5階にあるPCのコーナーへ殺到する。建築に関する数々の賞を受賞したユニークな建物、10階からの見事なシアトル市内の眺望、館内至る所にあるパブリック・アート、利用者に無料で開放された400機のPC、100万以上の貸し出し資料(書籍、CD、DVD)を誇る同図書館のもうひとつの側面を垣間見た。
今回の調査では、同図書館の司書の方(複数)に、図書館の歴史と運営上の特徴等、そしてホームレスの人々に対する図書館サービスについて、話を伺った。

2. オレゴン州立大学(Oregon State University):オレゴン州コルヴァリス

オレゴン州立大学は、オレゴン州ポートランドから南へ車でおよそ2時間の、コルヴァリスという閑静な学園都市にある。なおコルヴァリスからポートランド方面(北)に車で1時間のところに、オレゴン州の州都セーラムがある。
同大学では、次の2名の研究者に会い、アメリカにおける社会福祉に関して面接調査を行った。


・Prof. Mark Edwards(オレゴン州立大学社会学部教授)

2012年1月にオレゴン州立大学で開催のThe Ending Hunger in Oregon: 2012 Food Security Summit (オレゴン州の飢餓をなくすための会議)の現地代表を務める。
氏には、同会議の目的、アメリカ及びオレゴン州における貧困と飢餓の問題、アメリカにおけるFBO(信仰に基盤を置く組織) の活動状況等について話を伺った。


・Prof. Jeffrey Hale(オレゴン州立大学アカデミック・アドヴァイザー)

氏は、アメリカにおけるNPO、FBOについての専門家で、アメリカ社会の格差や貧困の問題に詳しく、またアメリカのニュー・メディアやソーシャル・ネットワークにも造詣が深い。
今回の面接調査では、アメリカのフィランスロピーの伝統及びアメリカの大学におけるサービス・ラーニングの現状について話を伺った。

3. ポートランド市役所:オレゴン州ポートランド

ポートランド市役所の広報担当のJon Dutt氏に面接し、同市の住民自治と住民参加及び社会サービスについて話を伺った。

4. マルトノマ・カウンティ図書館:オレゴン州ポートランド

ポートランド市民の利用するマルトノマ・カウンティ図書館を訪れ、シアトル公共図書館との比較の視点から視察を行い、司書の方に話を伺った。

5. オレゴン・メトロ政府:オレゴン州ポートランド

オレゴン・メトロ政府とは、ポートランドとその周辺の都市からなる広域行政圏である。その特徴について、メトロ政府の広報担当官であるMr. Ken Rayに貴重な話を伺った。

6. その他

その他、途中、オレゴン州の州都セーラムに立ち寄り、州庁舎を訪問した。中には、オレゴン州の歴史が展示されており、オレゴン・システムと言われる住民発議と住民投票による立法の伝統について説明があった。


◇ 面接調査に応じてくださった方々のおかげで、上述のような中身の濃い調査を行うことができた。3月3日の報告会では、その中から、1のシアトル公共図書館の社会教育福祉的側面について、及び5のオレゴン・メトロ政府の広域行政システムについて発表する予定である。

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