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項目作成ガイドライン

 テストや質問紙,アンケートなどは,回答者が適切に回答してはじめて機能するものです。よって,これらの作成者は,回答者が適切に回答できるように,問題や項目を準備する必要があります。ここでは,テストやアンケート,心理尺度などの項目を適切に作成するためのガイドラインについて説明します。テスト項目作成ガイドラインについては,ガイドラインに基づく修正例も紹介します。

 ここで紹介しているテスト問題作成ガイドラインは,Haladyna & Rodriguez (2013) のガイドラインや,これまに行った研究で得られた知見,また日本のテスト文化を考慮して,石井他(2021) で作成したものです。

 ガイドラインを見る際に注意していただきたいことがあります。それは,ガイドラインをすべて守ることにとらわれなくてよい,ということです。項目を作成する際は,テストの目的,測りたい能力,テストを実施する状況などを総合的に検討し,どのガイドラインをより重視するかを考えます。場合によっては,他のガイドラインに反するような項目を作成することもあり得ます。迷う場合は,その項目で何を測りたいか,どのように作成すれば適切な回答が得られるかに基づいて考えると良いでしょう。

 なお,Haladyna & Rodriguez (2013) のガイドラインの日本語訳は,2016年10月に開催された,日本テスト学会講習会「データに基づくテスト分析とテスト作成,新しい時代のテスト ―教師力向上のためのヒント―」で紹介したものです。


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テスト問題作成ガイドライン

 テスト問題作成ガイドラインを以下に示します。ガイドラインをクリックすると,そのガイドラインに基づく項目の修正例に飛びます。

問題の内容

  1. 問いたいことは何か,問題を解くために必要な能力は何かが明確であること
  2. 重要な事柄を問うこと。些末なことや一般的過ぎる問いにならないこと
  3. 正解が問題作成者の価値観に左右されるような問いにならないこと
  4. 特定の個人や集団に有利または不利な内容にならないこと
  5. ひっかけ問題にならないこと
  6. 高次の能力を測る問題では,受検者にとって新奇な素材を用いること

問題の形式

  1. 測りたい能力に見合った問題形式を用いること
  2. 前の問題に対する解答が,後の問題の正誤に影響しないこと
  3. 「あてはまるものをすべて選べ」という設問は避けること。使う場合は部分点を与えること
  4. 読解力や思考力を測る記述式問題では字数制限を設けないこと

問題の記述

  1. 言語レベルを受検者集団に合わせること
  2. 教示文・本文・設問・選択枝・図表等の記述量を必要最小限にすること
  3. 教示文・本文・設問・選択枝・図表等の文言をよく校正すること。他の人にも確認してもらうのが望ましい
  4. 教示文・本文・設問・選択枝・図表・解答欄等のレイアウトや大きさを適切にすること
  5. とくに低学年の児童に対して,選択枝は行を変えて1つずつ並べること
  6. 空所補充問題について,文意が分からなくなるほどの空所を設けないこと

設問部分

  1. 問いたいことは何か,どのような形式で解答したらよいかを明確・簡潔に書くこと
  2. 本文や選択枝など他の部分を読まなくても,設問部分だけで何を問われているかが分かること
  3. 否定表現を使わないこと。もし使う場合は,太字アンダーラインで強調すること
  4. 一部の受検者にしか分からないような暗黙の前提を用いないこと

選択枝

  1. いずれの選択枝ももっともらしいこと
  2. 高得点者と低得点者をよく区別できるような,識別力の高い選択枝を用いること
  3. 正答枝と誤答枝が明確に区別できること
  4. 不必要に選択枝を増やさないこと
  5. 明らかな誤答枝やお遊びの選択枝など,余計な選択枝を入れないこと
  6. 五十音順,数量の大きさ順など,何らかの法則に従って選択枝を並べること
  7. 正答枝の位置をランダムにばらつかせること
  8. 「上記のいずれでもない」「上記すべてあてはまる」などの選択枝を用いないこと
  9. 「~でない」「~以外である」など否定表現を用いないこと
  10. 「絶対に」「常に」「決して」「完全に」など,強意語を用いないこと
  11. 選択枝は互いに独立であること。内容に重なりがないこと
  12. 一方が正答枝であれば他方は誤答枝であると分かるような,両立しない選択枝を入れないこと
  13. 選択枝の長さをおおむね揃えること
  14. 選択枝の内容や形式などの構造を揃えること

記述式問題の採点に関して

  1. 問題作成と同時に,評価の観点,採点基準を設定すること
  2. 評価の対象とする要素,しない要素を明確にすること (誤表記は減点する,乱筆は減点しない,など)
  3. 正答となるものについて,基本的な基準を設定し,あまり細かな条件設定はしないこと
  4. 本格的に採点を始める前に,いくつかの解答を採点して,採点基準を精錬すること
  5. 最初のほうで採点した解答を後で採点し直すなどして,評定の一貫性を保つこと

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ガイドラインに基づく修正

 ガイドラインに基づいて問題の修正を行った例を以下に示します。

 [問題の内容]

  1. 問いたいことは何か,問題を解くために必要な能力は何かが明確であること


Bad

Q. 市販薬について説明せよ。

 Badの問題では,設問文が大雑把すぎて,何を問うているのか,何を解答したら良いのか,受検者にはまったく分からない。処方薬との違い,分類,購入法,効能,副作用,経済性,医療行政など,いろいろな観点からの解答が可能である。もし,どのような側面から解答しても良いとしたら,そのように明記するのが適切であるし,「○○の△△について (□□の観点から) 説明せよ」程度の教示は必要である。そこで,例えば次のように設問文を修正する。

Good

Q. 市販薬 (OTC医薬品) の経済的効果について,医療行政の観点から説明せよ。


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 [問題の内容]

  1. 重要な事柄を問うこと。些末なことや一般的過ぎる問いにならないこと


Bad

Q. 硬式テニス競技で「シュウゾウマツオカルール」が導入された年と廃止された年の組み合わせとして正しいものを選べ。

  1. 導入1995年 廃止2010年
  2. 導入1995年 廃止2011年
  3. 導入1996年 廃止2010年
  4. 導入1996年 廃止2011年
 正答:C

 Badの問題で問われている事柄は,現在は廃止されているルールである上,この知識があったからといって特段プレーが良くなる訳ではないものである。そのため,とくに新人選手にとってより重要な,基本的なルールについての設問へと修正する。

Good

Q. 硬式テニスのルールとして正しいものを選びなさい。

  1. サービスゲームでは,ボールを自分のコート内にワンバウンドさせてから相手のコートに入れる
  2. ポイントカウントが40-40になったとき,サーバーとレシーバーが2ボールずつ交代して打つ
  3. 最初のサーブがサービスエリアに入らなくても,もう1本サーブを打つことができる
  4. 先に4ポイントを取ったら1ゲームとなり,合計3ゲームを先取した方が勝利となる
 正答:C

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 [問題の内容]

  1. 正解が問題作成者の価値観に左右されるような問いにならないこと


Bad

Q. 現在のアメリカに最も影響を与えた人物は以下のうち誰か。

  1. エイブラハム・リンカーン
  2. ジョン・F・ケネディ
  3. マーティン・ルーサー・キング・ジュニア
  4. ロナルド・レーガン
 正答:?

 Badの問題で問うている『現在のアメリカに最も影響を与えた』人物は,どのような観点から考えるかによって変わり得るもので,問題作成者(出題者)の主観的な問いになっている。そのため,個人の価値観に左右されない問題へと修正する。

Good

Q. アフリカ系アメリカ人公民権運動の指導者として活動した人物は以下のうち誰か。記号で答えなさい。

  1. エイブラハム・リンカーン
  2. ジョン・F・ケネディ
  3. マーティン・ルーサー・キング・ジュニア
  4. ロナルド・レーガン
 正答:C

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 [問題の内容]

  1. 特定の個人や集団に有利または不利な内容にならないこと


Bad

Q. 『カラマーゾフの兄弟』の作者を以下の中から選びなさい。

  1. ストラヴィンスキー
  2. チャイコフスキー
  3. ドストエフスキー
  4. ムソルグスキー
 正答:C

 このガイドラインは,問題を解くのに必要な能力以外の要素で,正答できる可能性が変わることがないようにするということである。設問の内容自体がそのような可能性を招くこともあるし,問題全体としてそうなる場合もある。Badの問題は,設問内容自体が特定の集団に有利になるものではないが,選択枝をみるとC以外はクラシック音楽の作曲家名であり,クラシック音楽に詳しい受検者は,作者名を知らなくてもA,B,Dは誤答(Cが正答)だと分かってしまう。そこで,選択枝を文学作家で統一するように修正する。なお,「問題を解くのに必要な能力以外の要素で,正答できる可能性が変わること」は特異項目機能(Differential Item Functioning; DIF)と呼ばれる。

Good

Q. 『カラマーゾフの兄弟』の作者を以下の中から選び,記号で答えなさい。

  1. チェーホフ
  2. ツルゲーネフ
  3. ドストエフスキー
  4. トルストイ
 正答:C

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 [問題の内容]

  1. ひっかけ問題にならないこと


Bad

This wine is made (  ) Grape.

  1. by
  2. into
  3. from
  4. of
 正答:A

 Badの問題は,Grapeが人物名として作られている。しかし,一見すると「be made of 原材料」を問うているように見える。そのため,人によって作られたという意味が明確になるように,Grape を Ms.Kagami に,また wine も doll に変える。設問文も書くようにする。

Good

Q. 次の英文のカッコ内に入る単語を,以下のA~Dの中から選び記号で答えなさい。
 This doll is made (  ) Ms.Kagami.

  1. by
  2. into
  3. from
  4. of
 正答:A

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 [問題の内容]

  1. 高次の能力を測る問題では,受検者にとって新奇な素材を用いること


Bad

Q. 13 + 3 - 4 = ?

  1. 12
  2. 14
  3. 17
  4. 20
 正答:A

 Badの問題は,小学校低学年の算数として問われるレベルの一般的な計算問題である。しかし,具体的な状況で適切な計算をすることができるかどうかに興味がある場合は,計算だけできても意味がない。そのため,単なる計算問題ではなく,具体的な場面を提示するような設問へと修正する。

Good

Q. こうえんで 13人が あそんでいました。 あとから 3人 きました。 そのあと 4人 かえりました。 いま こうえんには なん人いますか。 A~Dのきごうで答えなさい。

  1. 12人
  2. 14人
  3. 17人
  4. 20人
 正答:A

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 [問題の形式]

  1. 測りたい能力に見合った問題形式を用いること


Bad

Q. 太平洋側に比べ,日本海側で冬期に降雪が多い理由を説明する際に,用いる必要のない語として最も適当なものを,以下の選択枝の中から選べ。

  1. 季節風
  2. 山脈
  3. 日照時間
  4. 日本海
 正答:C

 測りたい能力が,日本海側で冬期に降雪が多い理由を説明できることであるとする。Badの問題では,説明する文に必要な語と必要でない語を区別できるかで,間接的にその能力を測っている。大規模テストであればこの形式もあり得るが,教室テストなどであれば,直接説明を書かせるほうが良い。「用いる必要のない語として最も適当なもの」というのも分かりづらい表現である。そこで,記述式問題へと修正する。

Good

Q. 太平洋側に比べ,日本海側で冬期に降雪が多い理由を説明しなさい。

       


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 [問題の形式]

  1. 前の問題に対する解答が,後の問題の正誤に影響しないこと


Bad

Q1. 質量200[g],温度70℃の銀を,16.5℃の水600[g]の中に入れてかき混ぜた。すると,全体の温度がT℃になった。銀の比熱を0.24[J/(g・K)],水の比熱を4.2[J/(g・K)]として,Tの値を求めよ。

  1. 17.0
  2. 17.5
  3. 18.0
  4. 18.5
 正答:B

Q2. Q1で求めたTについて,ケルビン温度では何Kになるか。

  1. 290.15
  2. 290.65
  3. 291.15
  4. 291.65
 正答:B

 Badの問題では,Q2に正答するための条件として,Q1への正答が必要となる。しかし,Q2で問いたいことがK(ケルビン温度)と℃(摂氏温度)の対応関係が理解できているかである場合,Badの問題では,Q2で問われている能力があったとしても,Q2で誤答となる可能性がある。このように,Q1の誤答といった測りたい能力以外のものが正誤へ影響することを避けるため,Q2の項目を修正する。

Good

Q1. 質量200[g],温度70℃の銀を,16.5℃の水600[g]の中に入れてかき混ぜた。すると,全体の温度がT℃になった。銀の比熱を0.24[J/(g・K)],水の比熱を4.2[J/(g・K)]として,Tの値を求め,記号で答えなさい。

  1. 17.0
  2. 17.5
  3. 18.0
  4. 18.5
 正答:B

Q2. 30℃はケルビン温度では何Kになるか,記号で答えなさい。

  1. 290.15
  2. 303.15
  3. 311.15
  4. 325.15
 正答:B

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 [問題の形式]

  1. 「あてはまるものをすべて選べ」という設問は避けること。使う場合は部分点を与えること


Bad

Q. 以下の選択枝の中から,金管楽器にあてはまるものをすべて選びなさい。

  1. トランペット
  2. フルート
  3. ホルン
  4. トロンボーン
  5. サックス
 正答:A,C,D(すべてあっている場合のみ得点を与える)

 Badの問題では,すべて選べているか否かという精度の低い評価しかできず,受検者の能力を適切に反映しにくい。また,このような問題形式は受検者の不安を惹起してしまい,受検者が能力を十分発揮できないという懸念もある。そこで,各選択枝を二値評価する問題へと修正し,測定精度を高める。

Good

Q. 以下の各楽器について,金管楽器ならば○,金管楽器でなければ×をカッコ内に書きなさい。

  1. トランペット (   )
  2. フルート   (   )
  3. ホルン    (   )
  4. トロンボーン (   )
  5. サックス   (   )
 正答:○,×,○,○,× (正解数と得点 : 5(2点), 4,3(1点), 2,1,0(0点))

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 [問題の形式]

  1. 読解力や思考力を測る記述式問題では字数制限を設けないこと


Bad

Q. 傍線部Aの「自分にできることをしっかりやろう」と主人公が考えた理由を,80字以内で書きなさい。

正答bad

 読解力・思考力と,制限字数 (多くの場合,所定の9割程度の文字数) で文をまとめる力は異なる能力である。字数制限を設けた場合,内容は読み取れているが字数に収められないために適確でない解答になることがある。Badの問題は,国語の読解問題の例であるが,字数制限が設けられている。これを字数制限なしへと修正する。なお,記述量のおよその目安を示したい場合は,解答欄の大きさを調節する。

Good

Q. 傍線部Aの「自分にできることをしっかりやろう」と主人公が考えた理由を書きなさい。

正答bad

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 [問題の記述]

  1. 言語レベルを受検者集団に合わせること


Bad

Q. ある業務を完了するには1日当たり4時間の労働で22日を要する。この業務を13日で終える場合,最初の5日間は各8時間作業をするとして,残りの日の平均作業時間を求めよ。

  1. 4時間
  2. 5時間
  3. 6時間
  4. 7時間
 正答:C

 Badの問題は,対象が中学生以上ならこのままでも良いが,対象が小学生の場合は,設問文の言語レベルが高く,設問の意味を理解できない可能性がある。そこで,言語レベルを小学生が理解できるように修正する。

Good

Q. ある仕事をするのに,1日4時間ずつ働くと,22日かかります。太郎くんは,この仕事を13日で終わらせようと思い,最初の5日間は,1日8時間ずつ働きました。13日で終わらせるためには,残りの日は1日何時間ずつ働くことになりますか。記号で答えなさい。

  1. 4時間
  2. 5時間
  3. 6時間
  4. 7時間
 正答:C

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 [問題の記述]

  1. 教示文・本文・設問・選択枝・図表等の記述量を必要最小限にすること


Bad

Q. 世界には数多くの建物が存在する。その中には,歴史的に価値の高い建造物も多い。その多くは王宮や宗教施設との関連が深いものである。以下に述べられる歴史的建造物の説明として正しいものを選べ。

  1. 歴史的建造物であるアルハンブラ宮殿は,コルドバに建設された貴重な建造物である
  2. 歴史的建造物である仏国寺は,神羅の都である漢城に建てられた歴史的な建造物である
  3. 歴史的建造物であるヴェルサイユ宮殿は,ルイ14世時代に建築された価値ある建造物である
  4. 歴史的建造物であるケルン大聖堂は,ロマネスク様式の素晴らしい建造物である
 正答:C

 Badの問題では,「世界には多くの~」「貴重な」「価値ある」など,解答に直接影響しない無関係な記述が多く含まれる。そのため,解答するのに必要な語のみを残すよう修正する。

Good

Q. 歴史的建造物について正しく説明しているものを選び,記号で答えなさい。

  1. アルハンブラ宮殿はコルドバに建設された
  2. 仏国寺は神羅の都である漢城に建てられた
  3. ヴェルサイユ宮殿はルイ14世時代に建築された
  4. ケルン大聖堂はロマネスク様式の建造物である
 正答:C

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 [問題の記述]

  1. 教示文・本文・設問・選択枝・図表等の文言をよく校正すること。他の人にも確認してもらうのが望ましい


Bad

Q. 5gの食塩を使って5%の食塩水を作るとき,全体の水の量は何gになるか。

  1.   90g
  2.   95g
  3. 100g
  4. 105g
 正答:?

 Badの問題では「全体の水の量」が指しているものが,食塩水全体であるのか,食塩水を作るために必要な水の量なのかが曖昧である。そのため,どちらかに定まるように設問文を修正する。

Good

Q. 5gの食塩を使って5%の食塩水を作るとき,必要な水の量は何gか。記号で答えなさい。

  1.   90g
  2.   95g
  3. 100g
  4. 105g
 正答:B

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 [問題の記述]

  1. 教示文・本文・設問・選択枝・図表・解答欄等のレイアウトや大きさを適切にすること


Bad

Q. 時計のはりは何じ何ふんをさしていますか?

 時計    じ  ふん

 小学校2年生に針時計の時間の読み取りを聞く問題である。Badの問題では,設問文,時計のイラスト,解答欄が小さく,児童が問題を解いて解答するのにとても苦労する。そこで,設問文,イラスト,解答欄を大きくする。解答を書くスペースも広くする。設問文も間隔をあけて読みやすくする。

Good

Q. 時計 の はり は 何じ 何ふん を さしていますか。数字を書きなさい。

時計      じ     ふん

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 [問題の記述]

  1. とくに低学年の児童に対して,選択枝は行を変えて1つずつ並べること


Bad

Q. 三角形の面積を求める公式を次のA~Dの中から選びなさい。


 A. 底辺×高さ÷2   B. 斜辺×高さ÷2   C. 底辺×短辺÷2   D. 斜辺×短辺÷2

 正答:A

 Badの問題では選択枝を水平方向に並べているが,とくに小学校低学年の児童では理解が困難になる。選択枝を垂直方向に並べることにより,一行一選択枝となり理解しやすくなる。質問紙調査を行う場合も,「1. まったくあてはまらない」「2. あまりあてはまらない」…などの選択枝も,同様に縦並びにするのが望ましい。

Good

Q. 三角形の面積を求める公式を次のA~Dの中から選び,記号で答えなさい。

  1. 底辺 × 高さ ÷ 2
  2. 斜辺 × 高さ ÷ 2
  3. 底辺 × 短辺 ÷ 2
  4. 斜辺 × 短辺 ÷ 2
 正答:A

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 [問題の記述]

  1. 空所補充問題について,文意が分からなくなるほどの空所を設けないこと


Bad

Q. 以下の空所に入る語句を選択枝の中から選びなさい。

 ( 1 )を合計して( 2 )で割った値を( 3 )値と言う。( 1 )を大きさ順に並べたとき,ちょうど( 4 )にくる値を( 4 )値と言う。( 2 )が( 5 )のときは,( 4 )の2つの( 1 )の( 3 )を( 4 )値とする。( 2 )が最も大きい( 1 )の値を( 6 )値と言う。

A. 0   B. -1   C. +1  D. -2乗 E. 2乗  F. 奇数  G. 偶数  H. 個体数
I. 最小 J. 最大 K. 最頻 L. 時間 M. 次元 N. 中央 O. データ P. 標準偏差
Q. 分散 R. 平均

 Badの問題は,教科書の文章をほぼそのまま用いて空所補充問題にしたものである。答えを知っていれば,つまり,教科書を丸暗記していれば簡単な問題だが,答えを知らなければ,解答の手掛かりとなる情報が不足していて,パズルを解くような問題になっている。重要なことは,教科書を丸暗記することではなく,内容を理解していることなので,次のような多枝選択問題へと修正する。

Good

Q. 平均値の説明として正しいものを以下の選択枝の中から選び,記号で答えなさい。

  1. データを合計して個体数で割った値
  2. データを大きさ順に並べたとき,ちょうど中央にくる値
  3. データを大きさ順に並べたとき,中央の2つのデータを足して2で割った値
  4. 個体数が最も大きいデータの値
 正答:A

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 [設問部分]

  1. 問いたいことは何か,どのような形式で解答したらよいかを明確・簡潔に書くこと


Bad

Q. 5molの塩化水素HClは何gか。

  1.   73.0mg
  2. 182.5mg
  3.   73.0g
  4. 182.5g
 正答:D

 Badの問題では,塩化水素の分子量の記憶という能力と,分子量を用いて重さを算出するという2つの能力を要する。しかし,問いたい能力が,1molの重さ=分子量gということを理解できていることであれば,塩化水素の分子量を記憶している必要はない。また,Badの問題では,選択枝の記号で答えるのか,グラム数を答えるのか明示していない。そこで,塩化水素の分子量を与えるととともに,解答形式を明記する。

Good

Q. 5molの塩化水素HClは何gか,選択枝の記号で答えなさい。なお,塩化水素の分子量は36.5とする。

  1.   73.0mg
  2. 182.5mg
  3.   73.0g
  4. 182.5g
 正答:D

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 [設問部分]

  1. 本文や選択枝など他の部分を読まなくても,設問部分だけで何を問われているかが分かること


Bad

Q. 船にのりなむとす。(土佐日記・一二月二七日)

  1. 願望の終助詞の「なむ」
  2. 強意の係助詞の「なむ」
  3. 強意の助動詞「ぬ」の未然形+意志の助動詞「む」
  4. ナ変動詞の未然形の語尾+意志の助動詞「む」
 正答:C

 Badの問題では,選択枝を読めば「なむ」の品詞が何であるかを問われていることがわかるが,設問部分だけではわからない。そのため,設問文を修正する。

Good

Q. 次の下線部の品詞の説明として正しいものをA~Dの中から選び,記号で答えよ。
  船にのりなむとす。(土佐日記・一二月二七日)

  1. 願望の終助詞の「なむ」
  2. 強意の係助詞の「なむ」
  3. 強意の助動詞「ぬ」の未然形+意志の助動詞「む」
  4. ナ変動詞の未然形の語尾+意志の助動詞「む」
 正答:C

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 [設問部分]

  1. 否定表現を使わないこと。もし使う場合は,太字アンダーラインで強調すること


Bad

Q. 木管楽器に当てはまらないものを選びなさい。

  1. クラリネット
  2. コルネット
  3. サックス
  4. フルート
 正答:B

 Badの問題では,当てはまらないものを選ばせていることを強調していないため,受検者が見過ごす可能性がある。そのため,当てはまらないものと強調表現をする。

Good

Q. 木管楽器に当てはまらないものを選び,記号で答えなさい。

  1. クラリネット
  2. コルネット
  3. サックス
  4. フルート
 正答:B

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 [設問部分]

  1. 一部の受検者にしか分からないような暗黙の前提を用いないこと


Bad

Q. CBTの臨床的効果について説明せよ。

 臨床心理学でCBTと言えば認知行動療法(Cognitive Behavioral Therapy; CBT)のことであるが,教育・テストの領域では,CBTはコンピュータ型テスト(Computer Based Testing)である。背景の異なる多様な受検者が想定されるテストでは,特定の集団内でのみ通用するスラングや略語等は用いず,きちんと表記することが望まれる。Badの問題ではCBTとしか書かれていないので,きちんと書くように修正する。

Good

Q. 認知行動療法(Cognitive Behavioral Therapy; CBT)の臨床的効果について説明せよ。


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 [選択枝]

  1. いずれの選択枝ももっともらしいこと


Bad

Q. 本能寺の変は何年の出来事か。

  1. 1185年
  2. 1582年
  3. 1868年
  4. 2018年
 正答:B

 Badの問題では,誤答枝の年代が離れすぎ,かつ,他の時代で主要な出来事があった年号であるので,正解を知らなくても正答を絞ることができてしまう。そのため,本能寺の変と同時代の主要年号を誤答枝にする。

Good

Q. 本能寺の変は何年の出来事か,記号で答えなさい。

  1. 1467年
  2. 1543年
  3. 1582年
  4. 1600年
 正答:C

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 [選択枝]

  1. 高得点者と低得点者をよく区別できるような,識別力の高い選択枝を用いること


Bad

Q. 冥王星についての記述として正しいものを選びなさい。

  1. 太陽系の惑星である
  2. 1930年に発見された
  3. エリスという衛星をもつ
  4. ミッキーマウスの名前の由来である
 正答:B

 Badの問題では,選択枝4は明らかに誤答枝と分かり,ほとんどの受検者が選択しない識別力の低い選択枝である。そこで,選択枝4をもっともらしく修正する。

Good

Q. 冥王星(めいおうせい)についての記述として正しいものを選び,記号で答えなさい。

  1. 太陽系の惑星である
  2. 1930年に発見された
  3. エリスという衛星をもつ
  4. 宵(よい)の明星とも言われる
 正答:B

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 [選択枝]

  1. 正答枝と誤答枝が明確に区別できること


Bad

Q. 静止画像ファイルの拡張子として正しいものを選択しなさい。

  1. txt
  2. jpg
  3. gif
  4. mp4
 正答:B, C?

 Badの問題では,gifを静止画像ファイルと捉えるかアニメーション画像ファイルと捉えるかで解答が変わってしまう。設問文に「静止画像」とあることから,作題者はB(jpg)のみを正答としたい意図が感じられるが,C(gif)が静止画像に用いられることもある以上,Cを正答とすることを排除できず,正答が一意に定まらなくなる。そこで,正答と誤答を明確に区別できるように選択枝を修正する。またこのとき,「静止画像」と言う必要はないので,一般的な表現である「画像」に設問文を修正する。​

Good

Q. 画像ファイルの拡張子として正しいものを選び,記号で答えなさい。

  1. txt
  2. jpg
  3. wav
  4. mp4
 正答:B

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 [選択枝]

  1. 不必要に選択枝を増やさないこと


Bad

Q. オーストラリアの首都の都市名を,以下の中から選びなさい。


  A. シドニー B. ウォーラ C. ロックハンプトン D. ニューマン E. ケアンズ
  F. グリフィス G. ベルモント H. ブリスベン I. メルボルン J. アデレート
  K. バース L. キャンベラ M. ヤラバレー N. ヌーサ O. ゴールドコースト
  P. モスマン Q. キングスコート R. カウラ S. タウンズビル T. ダーウィン

 正答:L

 Badの問題では,まぐれあたりの確率を小さくしようとして20個の選択枝を用意している。しかし,多くの問題において受検者は,どんなに選択枝が多くても3つ程度の選択枝まで絞り込むことが可能であるので,不必要に多くの選択枝を設定するのは無意味である。選択枝間の重複など出題ミスの誘因にもなる。そこで,選択率が高そうな実質的に有効なものだけに絞って,選択枝を提示するように修正する。

Good

Q. オーストラリアの首都の都市名を以下の選択枝の中から選び,記号で答えなさい。

  1. キャンベラ
  2. ケアンズ
  3. シドニー
  4. ブリスベン
  5. メルボルン
 正答:A

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 [選択枝]

  1. 明らかな誤答枝やお遊びの選択枝など,余計な選択枝を入れないこと


Bad

Q. 5大栄養素の一つであるミネラルに含まれるものを選べ

  1. リチウム
  2. カリウム
  3. アルミニウム
  4. プラネタリウム
 正答:B

 Badの選択枝にある「プラネタリウム」という選択枝は,一見すると最後の2文字が「ウム」であり同列のように思われる。しかし,他の選択枝が元素名であるのに対して,関係のない選択枝となっており,明らかに不自然である。そのため,この選択枝を誤答となる別の元素名に修正する。

Good

Q. 5大栄養素の一つであるミネラルに含まれるものを選び,記号で答えなさい。

  1. リチウム
  2. カリウム
  3. アルミニウム
  4. バリウム
 正答:B

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 [選択枝]

  1. 五十音順,数量の大きさ順など,何らかの法則に従って選択枝を並べること


Bad

Q. 半年複利1%で100万円を貯金したとき,3年後の利息はいくらになるか。

  1. 61,208円
  2. 60,900円
  3. 60,000円
  4. 61,520円
 正答:D

 Badの問題では,選択枝の並びに法則性がない。そのため,数値の小さい順に並べ替える。

Good

Q. 半年複利1%で100万円を貯金したとき,3年後の利息はいくらになるか。記号で答えなさい。

  1. 60,000円
  2. 60,900円
  3. 61,208円
  4. 61,520円
 正答:D

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 [選択枝]

  1. 正答枝の位置をランダムにばらつかせること


Bad

正答bad

 Badでは「A」が正答枝である項目が9項目中6項目もある。また,「A」が2回続いたあとに「B」「C」「D」が来るという系統性もみられ,正答を探す手掛かりになりかねない。そのため,正答選択枝の数を揃えるとともに,位置をばらつかせる。

Good

正答good

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 [選択枝]

  1. 「上記のいずれでもない」「上記すべてあてはまる」などの選択枝を用いないこと


Bad

Q. 以下の作品と分類のうち,正しいものを選びなさい。

  1. 徒然草 ― 日記
  2. 伊勢物語 ― 伝奇物語
  3. 今昔物語 ― 歌物語
  4. 上記のいずれでもない
 正答:D

 「上記のいずれでもない」や「上記すべてあてはまる」は,すべての選択枝を正しく評価できて初めて正解になると考えられているが,例えば,2つあてはまる選択枝があれば「上記すべてあてはまる」が正解だと分かり,部分的な知識で正答に至る可能性が高まるという問題がある。また,受検者の不安感を惹起するという問題もある。Badの問題では,選択枝に「上記のいずれでもない」が含まれているため,この選択枝を修正する。

Good

Q. 以下の作品と分類のうち,正しいものを選び,記号で答えなさい。

  1. 徒然草 ― 日記
  2. 伊勢物語 ― 伝奇物語
  3. 今昔物語 ― 歌物語
  4. 宇治拾遺物語 ― 説話
 正答:D

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 [選択枝]

  1. 「~でない」「~以外である」など否定表現を用いないこと


Bad

Q. 日本の政治の説明として正しくないものを選びなさい。

  1. 衆議院議席数が最多である党以外を野党という
  2. 参議院の任期は4年ではない
  3. 首相は国会議員でないとなれない
  4. 参議院は予算先議権を持っていない
 正答:A

 Badの問題では,「以外」「ではない」二重否定などの否定表現が選択枝に用いられおり,理解が難しくなっている。さらに設問にも否定表現が使われる場合は,問題全体の理解が大変困難になり,出題ミスの原因にもなる。そこで,選択枝では否定表現を用いないようにするとともに,設問文も誤っているものという表現に修正する。

Good

Q. 日本の政治の説明として誤っているものを選び,記号で答えなさい。

  1. 衆議院議席数が最多である党を与党という
  2. 参議院の任期は6年である
  3. 首相は国会議員が務める
  4. 衆議院は予算先議権を持っている
 正答:A

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 [選択枝]

  1. 「絶対に」「常に」「決して」「完全に」など,強意語を用いないこと


Bad

Q. 生活習慣病を防ぐための方法として正しいものを選べ。

  1. 全く塩分をとらないようにする
  2. 常に運動をするようにする
  3. 食生活を乱さないようにする
  4. 決してお酒を飲まないようにする
 正答:C

 Badの問題の誤答枝は,「全く」や「常に」などの表現があるため誤答になっているが,強意語がなければ適切な選択枝である。テスト問題としては,適切な理解をしているかを問うほうが望ましい。そのため,適切な理解をしているかを問う設問へと修正する。

Good

Q. 生活習慣病を防ぐための心掛けとして適切でないものを選び,記号で答えなさい。

  1. 塩分をとらないようにする
  2. 運動をするようにする
  3. 食べられるときに食べておくようにする
  4. お酒を飲まないようにする
 正答:C

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 [選択枝]

  1. 選択枝は互いに独立であること。内容に重なりがないこと


Bad

Q. 愛知県は何地方に属するか。

  1. 東海地方
  2. 中部地方
  3. 関西地方
  4. 北陸地方
 正答:A,B

 Badの問題では,東海地方の一部と北陸地方は中部地方に含まれるため,選択枝の内容に重なりがある。そのため,互いに重なりのない選択枝となるように修正する。

Good

Q. 愛知県は何地方に属するか。記号で答えなさい。

  1. 中部地方
  2. 関東地方
  3. 関西地方
  4. 四国地方
 正答:A

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 [選択枝]

  1. 一方が正答枝であれば他方は誤答枝であると分かるような,両立しない選択枝を入れないこと


Bad

Q. 脊椎動物・無脊椎動物の説明として正しいものを選びなさい。

  1. 脊椎動物には背骨がある
  2. 脊椎動物には背骨がない
  3. 無脊椎動物には魚類や爬虫類が含まれる
  4. 軟体動物は脊椎動物である
 正答:A

 Badの問題では,選択枝AとBが排反で両立しない選択枝であり,どちらかが正答枝であることが受検者に分かってしまう。そのため,両立しない選択枝を修正する。

Good

Q. 脊椎動物・無脊椎動物の説明として正しいものを次のA~Dの中から選び,記号で答えなさい。

  1. 脊椎動物には背骨がある
  2. 両生類は無脊椎動物である
  3. 無脊椎動物には魚類や爬虫類が含まれる
  4. 軟体動物は脊椎動物である
 正答:A

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 [選択枝]

  1. 選択枝の長さをおおむね揃えること


Bad

Q. キュビズムの説明として正しいものを選べ。

  1. 異なる角度から見た物体について遠近法を駆使して一枚に収めたものである
  2. 主な芸術家はパブロ・ピカソである
  3. 現代美術の大きな動向の一つであり,21世紀初頭に生まれたものである
  4. 出発点はジョルジュ・ブラックの描いた『アビニヨンの娘たち』である
 正答:B

 Badの問題では,正答枝のみ選択枝の長さが短く目を引く。他の選択枝は誤答になるように文が長く書かれている。そのため,正答枝も他の選択枝と同じくらいの長さになるよう修正をする。

Good

Q. キュビズムの説明として正しいものを選び,記号で答えなさい。

  1. 異なる角度から見た物体について遠近法を駆使して一枚に収めたものである
  2. この手法を用いて作品を作った主な芸術家はパブロ・ピカソである
  3. 現代美術の大きな動向の一つであり,21世紀初頭に生まれたものである
  4. 出発点はジョルジュ・ブラックの描いた『アビニヨンの娘たち』である
 正答:B

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 [選択枝]

  1. 選択枝の内容や形式などの構造を揃えること


Bad

Q. 以下の文章の下線部と同じ意味を表すものを選べ。
 They put off today's baseball game.

  1. dome
  2. postpone
  3. spectator
  4. television
 正答:B

 Badの問題では,Bのpostpone以外は全て名詞となっており,正答枝が動詞であることさえ分かれば,意味が分からずとも正答できてしまう。そのため,その他の選択枝も動詞に修正する。

Good

Q. 以下の文章の下線部と同じ意味を表すものを次のA~Dの中から選び,記号で答えよ。
 They put off today's baseball game.

  1. cancel
  2. miss
  3. postpone
  4. skip
 正答:C

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アンケート調査項目作成ガイドライン

 アンケート調査項目作成ガイドラインを以下に示します。このガイドラインは,『臨床栄養』(医歯薬出版)で連載された「回答しやすく・分析しやすい 業務に活かせる! アンケート調査のキホンと応用」の内容や,Dillman et al. (2014) などを参考にして,坪田他(2021) で作成したものです。

アンケート調査の作成の前に

  1. アンケート調査の目的を明確にして作成すること
  2. 調査項目数は調査の目的に照らして最小限となるようにすること

すべての回答形式の項目について

  1. 問いたいことに対して適切な回答形式を選択すること
  2. 回答内容に応じて,その次に回答する項目を変えたい場合には,どの項目に回答するべきかを明確にすること
  3. 1つの項目では,1つの内容を問うようにすること
  4. 質問の意図を正しく伝えること
  5. 調査内容に関する一般的な語彙を用いること
  6. 完全かつ簡潔な文章を用いること
  7. 可能な限り少ない字数で書くこと
  8. 専門用語,俗語,隠語,略語は避け,馴染みのある単純な語を正確に用いること
  9. 具体的かつ明確に問うこと。曖昧な表現を用いないようにすること
  10. 否定語で質問しないこと
  11. 「はい」や「賛成」という回答がポジティブ,「いいえ」や「反対」という回答がネガティブな意味になるように質問すること
  12. 望ましい回答があると思わせないこと
  13. 文章を確認すること。とくに,接続詞や助詞が正しく機能しているかどうか確認すること

選択枝を用いる項目について

  1. 質問内容に対して適切な選択枝を用い,選択枝を見ただけで具体的にその意味を理解できること
  2. 選択枝の並べ方に気を付けること。原則的に上から下へと並べるが,同時に複数の内容について問うときは左から右へと並べることもある
  3. 選択枝の内容に重なりがないようにすること
  4. 回答者の属性を踏まえて選択枝を作成すること

選択枝に順序性のある項目について

  1. 考えうる回答の方向性を踏まえた質問文・選択枝にすること
  2. 問いたいことを直接的に質問するようにすること
  3. 問いたい内容が明確な数値をもつときは,その数値を引き出せるような質問にすること
  4. 選択枝の段階数は最小限にすること
  5. 回答するための情報を持ち合わせていない回答者が想定されるときは,「わからない」という選択枝を用意すること
  6. 分析時に回答を二つに分けたい場合には,中立を意味する選択枝を用いないこと
  7. 選択枝間の距離は意味的に等しくし,選択枝を配置する間隔も等しくすること
  8. 選択枝は,番号や記号だけにせず,文字によるラベル(説明)をつけること
  9. ラベルの数字の大小関係が選択枝の値の大きさや程度の高さを表すようにすること

選択枝に順序性のない項目について

  1. 選択枝はシンプルであるとともに,重要な回答を網羅できるように作成すること
  2. 「その他」にあてはまる回答者が少なくなるように作成すること
  3. すべての選択枝に順位を付けさせる方式はなるべく用いないこと。もし必要なら,回答を容易にする工夫をすること
  4. 選択枝のバランスを揃えること
  5. 選択枝の並び方に適切な順序がない場合には,ランダムに配置すること
  6. 「当てはまるものをすべて選べ」という方式は用いないこと。選択枝のひとつひとつについて,当てはまるかどうかを問うこと

記述式の項目について

  1. 回答してほしいことを明確にすること
  2. 回答欄を適切な大きさにすること
  3. 数値で回答を求める場合に, 回答者に計算させるのは避けること

オンライン調査について

  1. 調査対象者のうちオンラインでの調査を行うことが可能な対象について事前に考えること。場合によっては別の手段をとること
  2. あらゆるデバイスで質問の内容が正しく表示され,かつ,不備なく同様の方法で回答が可能かを確認すること
  3. 調査の途中で前の回答に戻ることができるようにすること
  4. 回答者についての事前情報や,回答内容に応じて次に回答する項目を変えたいときは,その機能が正しく動いているかを事前に十分に確認すること
  5. ドロップダウンメニューや,自動計算機能,リンク先の確認を求めるなどの機能は,それが必要であり回答の手助けになるかを十分に検討すること
  6. 割合をグラフで回答させるなど,視覚情報にのみ依存する回答方法を用いないこと
  7. 回答の一時中断を許し,再開後に回答完了することができるようにすること
  8. 回答を完了するための十分な時間を設けること
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心理尺度作成ガイドライン

 心理尺度作成ガイドラインを以下に示します。このガイドラインは,Scale Development: Theory and Applications (DeVellis, R.F. & Thorpe, C.T., 2021) や Psychological Testing 関連の書籍,他のガイドライン等を参考にして,坪田他(2022) で作成したものです。

尺度の作成を始める前に

  1. 測定したい概念についての理論的・歴史的背景を十分に理解すること
  2. 測定したい概念と類似する概念や既存の尺度との関係性(特に相違点)について明確にすること
  3. 測定したい概念について,広範な概念を扱うのか,狭義の概念を扱うのかを検討すること
  4. 作成する尺度が測定する概念についての定義をすること。測定する概念について,尺度得点が高い人がもつ特徴,低い人がもつ特徴を整理するのがよい
  5. 作成する尺度の対象者の範囲を決めること
  6. 尺度を作成する目的を十分に検討すること。特に尺度得点について,完成後にどのように扱うのかについて検討すること
  7. 翻訳版を作成する場合には,項目で測定している内容の意図を踏まえた上で,語感や表現方法として違和感のない項目とすること
  8. 翻訳版を作成する場合には,文化の違いを踏まえること。文化的に馴染みのない内容が含まれる項目は,測定したい概念以外の影響を受ける可能性がある

項目の作成・選定について

  1. 回答形式を決めること(e.g.リッカート式,T-F式,自由記述式など)
  2. 測定したい概念のどのような側面に対応する項目なのかを念頭に置いて作成すること
  3. 最初に項目を作成する段階では,より多くの項目を作成すること
  4. 同一の内容について肯定的な項目と否定的な項目を含むようにすること。これにより回答者のバイアスの影響を低減することができる
  5. 作成した項目の長さを確認すること。他の項目に比べて,特別長い項目は除外するのがよい

項目文の記述について

  1. 1つの項目では1つの内容を問うようにすること
  2. 質問の意図を正しく伝えること
  3. 完全かつ簡潔な文章を用いること
  4. 可能な限り少ない字数で書くこと。文章が長いほど複雑な構造となり,意図した内容が伝わりにくくなる
  5. 具体的かつ明確に問うこと。曖昧な言葉を用いないようにすること
  6. 専門用語,俗語,隠語,略語は避け,馴染みのある単純な語を正確に用いること
  7. 使用する語句に注意すること。使用する語句次第では回答が異なり,集計結果に影響を及ぼす場合がある
  8. 尺度を使用する対象者に言語レベルを合わせること
  9. 「~ではないですか」などの否定語で質問しないこと
  10. 望ましい回答があると思わせないこと
  11. 質問の内容は回答者にとって十分現実的なものにすること
  12. 誤字・脱字がないかを確認すること

回答選択枝の作成について

  1. 回答者が意味の違いを識別できる程度の選択枝数(段階数)にすること。多すぎる選択枝は結果として特性の違いが反映されないことがある
  2. リッカート式を用いる場合,全ての評定カテゴリに対して文字によるラベル(説明)をつけること
  3. 中立となる選択枝が必要かを検討すること。傾向を二分したい場合には設けない方がよい
  4. 選択枝の構造や長さを揃えること
  5. 「常に」や「決して」などの強い表現は避けること
  6. 選択枝の内容に重なりがないようにすること

項目作成後の他の専門家による確認について

  1. 作成した項目のひとつひとつについて,測定したい概念との関連を確認してもらうこと
  2. 項目の文章が意図した内容として伝わるものになっているかを確認してもらうこと
  3. 測定したい概念について必要十分な項目の集まりになっているかを確認してもらうこと。必要に応じて,足りていない箇所を明らかにしてもらうこと
  4. 複数の下位概念をもつ尺度の場合,非専門家でも下位概念間の違いがわかるかを確認してもらうこと。また,非専門家にも確認してもらうことが望ましい

予備調査の実施・確認について

  1. 本調査の前に小規模な集団に予備調査を行うこと
  2. 項目の内容・文章について,意味が伝わりにくいところがなかったかを確認すること
  3. 自由記述欄を設けるなど,調査項目や調査そのものへの意見を受け付けること
  4. 予備調査実施後には項目得点の分布および代表値・散らばりや範囲などを確認すること
  5. 予備調査を行う前に社会的望ましさやデタラメな回答などの,意図しない影響を引き起こさない項目になっているか確認すること。また予備調査実施後には,それらの影響がなかったかを検討すること

本調査の実施・結果について

  1. 本調査には十分な回答者数を得ること
  2. 本調査の対象者は尺度の測定対象と等質な集団にすること
  3. 逆転項目が正しく処理されているか確認をすること。また,項目間相関が負の値のときには,逆転項目の可能性を検討する必要がある
  4. 項目ひとつひとつについて,尺度得点との相関を確認すること
  5. 項目得点の分布および代表値・散らばりや範囲などを確認すること
  6. ほとんどの人が同じ回答をしている項目がないかを確認すること。そのような項目は特性の差異を反映していない
  7. 因子分析などにより,因子の構造を確認すること
  8. 信頼性の確認をすること。内的整合性と再検査信頼性など,2通り以上の方法で確認することが望ましい
  9. 妥当性の確認をすること。特に外的基準について,測定している概念との関連性を明確にしておくこと

項目の最終決定について

  1. 回答者の負担と信頼性・妥当性を考慮して項目数を決定すること
  2. 1つの概念ないし下位因子の測定を過度に少数の項目に担わせないこと。少なすぎる項目からなる尺度は測定の妥当性を損なう
  3. 複数項目を削除する際には,一度にすべての項目を削除するのではなく,α係数の値などを考慮しながら削除する項目を決めること
  4. 本調査の回答者が十分な人数のとき,2つのグループに分け,1つ目のグループで項目の選定や評価を行い,その尺度がもう1つのグループで同様の結果になるかの確認をすること
  5. 妥当性,項目困難度,識別力,信頼性,項目の内容の全てを考慮した上で,最終的な項目を決定すること
  6. 因子構造・項目のまとまり・内容が当初想定していた概念を測定するのに十分なものかを確認すること
  7. 十分な尺度が作成されない場合には,全般的な見直しを行い,再度予備調査から行うこと
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