比較職業教育訓練研究会メンバー
◇主要メンバー:
◎横山 悦生(名古屋大学)、篠田 武司(立命館大学)
  本所 恵(金沢大学)、三宅 章介(東海学園大学)
  沼口 博(大東文化大学)、石原 俊時(東京大学)
  田中 卓也(共栄大学)
◇研究協力者:
  田中 萬年(元職業能力開発総合大学校)
  新井 吾朗(職業能力会敦総合大学校)
  高橋 保幸(宮城県庁職員、東北大学大学院生)
  大岡 頼光(中京大学)
  菅沼 隆(立教大学)
  嶋内 健 (立命館大学非常勤)
  ほか数名の研究者の方々

科研費研究の目的
現在、「学校から社会・職業への移行」が話題になっている。日本では、かつて学卒の一括採用とよばれる雇用慣行が存在し、学校を卒業すると同時に企業に就職することが当然とされた。その後、産業構造の変化、企業の採用動向の変化、学校教育における進路指導の問題、若者の意識の変化などがあいまって、この移行に困難な状況がうまれている。この問題解決の手がかりを得るには、北欧における近年の試みが注目される。北欧では移行過程に新しい徒弟訓練を位置付け直し、新たな職業教育・訓練制度を導入したことがそれである。この試みに注目し、北欧、とりわけスウェーデン、フィンランド、ノルウエー、デンマークにおける状況を明らかにし、わが国の現状をふまえ、導入の可能性について検討を試みるものである。

研究実施計画
【平成25年度】
北欧における職業教育・訓練と学校教育の関係を明らかにするため、スウェーデン、ノルウェー、フィンランド、デンマークを中心に職業教育・訓練機関および学校教育関係者への資料収集、聞き取り調査などの実態調査を試みる。また職業教育・訓練と学校教育を統括する教育省、教育委員会、労働省、雇用者団体、労働組合などへの聞き取り調査を実施する。これらを通じて、職業教育・訓練と学校教育との関係がどのように構築され、連携関係を築いてきたかについて明らかにする。

【平成26年度】
北欧から職業教育・訓練に関する研究者や行政担当者を招聘し、国内の企業内教育関係者、学校教育関係者、教育行政、厚生労働行政関係者などを含め、「学校から社会・職業への移行」を円滑にし、生涯学習社会に対応した職業教育・訓練と学校教育のあり方について国際シンポジウムを開催する。


【平成27年度】

再度、海外調査を実施、前回の海外調査(スウェーデン、フィンランド、ノルウェー、デンマーク)をふまえ同様の問題を調査する。訪問調査を通じて、最大の課題とも考えられる「学校教師の職業訓練現場でのコーディネートと職業訓練指導員の学校カリキュラムへの関与」がどのように実現したのか、あるいは困難に直面しているのかについて、問題を明らかにする。さらに国内共同研究会議を開催し、提起された研究課題について、さらに共同研究を発展させるためにその遂行に必要な合意と調整を行う。


【平成28年度】
これまでの3年間の研究において、蓄積された知見をもとに、総合的政策の視点から、「職業教育・訓練と学校教育」の新たな関係構築にむけて、再度、海外調査を行い、政策間の調整や修正などについて聞き取り調査を実施する。またわが国においても、学校と企業との連携などに関する課題や、何よりも職業能力の育成にむけて、職業教育・訓練と学校教育の関係について、平成27年度までに集約された知見をベースにのぞまれる具体的な関係のあり方について提言を探りたい。さらにこれまでの研究成果をまとめるため、報告書を作成する。


これまでの歩みと今後の開催予定
【平成26年度】
5月5〜6日 第1回国際会議(名古屋大学教育学部)

【平成25年度】
4月20日〜21日 第1回研究会(名古屋大学)
5月12日〜15日 職業教育に関する国際会議(ストックホルム大学)
6月14日〜15日 職業教育史に関する国際会議(横山・Anders Nilssonの共同発表、タンペレ)
8月23日〜24日 日瑞職業教育・訓練セミナー(ルンド大学)
8月26日     スウェーデンの企業内教育や成人学校見学
8月27日     スウェーデンのla:rning Akademiの見学
8月28日〜29日 フィンランド ヘルシンキの徒弟訓練に関する聞き取り調査(ハーガ・ヘリア、STARTなど)
8月30日〜9月6日 ノルウエーのオスロの徒弟教育の調査
12月14日〜15日 第2回研究会(名古屋大学教育学部)