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教授:大 谷 尚 OTANI, Takashi (筑波大学大学院)  教育学修士


専門領域
《学校情報学》
学校情報学は、コンピュータやインターネットの教育利用に代表される学校教育の内容・方法・環境の情報化を中心とし、さらにひろく教育におけるテクノロジー利用を研究対象とする学際的な領域です。現在、国内外の一般の学校だけでなく、フリースクールでの観察なども行い、そこでの多様な問題や課題を探っています。これらを通して、教育学の他の研究領域と成果を共有しながら、教育の情報化と教育におけるテクノロジー利用についての基礎理論の構築をめざしています。


研究内容
これまで、教育のさまざまな領域でのコンピュータ利用の研究の他、コンピュータを用いた授業研究を行ってきました。近年は、学校教育でのコンピュータ利用と、学校教育にとくに大きなコンフリクトと変化をもたらす可能性のあるインターネットの利用を対象とし、あらたなパラダイムによるアプローチを行っています。それは、量的・実証的な研究手法を越えた、質的(qualitative)で脱実証的(post-positivist)あるいは非実証的(non-positivist)な手法による観察研究です。従来のような仮説−検証型の研究ではなく、仮説枠をもたずに研究対象に臨み、潜在する問題自体を見いだし、それを学校教育の広範な社会・文化的文脈を考慮して分析・検討していくアプローチです。観察対象は、フリースクールにまで拡大しています。また、学校で、視聴覚教育や教育工学やコンピュータ利用の研究を長くして来られた先生方へのライフヒストリー的、ナラティブ・アプローチ的インタビュー研究を行っています。また、このような手法を適用して、専門職性についてのカナダの教員の意識と教員のための大学院プログラムについても調査しています。さらに、その研究との比較のために中性以来の伝統的専門職である、医師、法律家、司祭・牧師について、カナダの医学部、法学部、神学部の調査を行い、とくに、日本での医学教育についても研究を行っています。

主要著作

  1. 「教育と情報テクノ ロジーに関する検討 −ハイデッガーの『技術への問い』をてがかりとして−」(教育学研究. Vo.l73. No.2, 別冊 2006年 14-28)
  2. 教育システム(組織)の新しいパラダイム −フリースクールやホームスクールから日本の学校を考える−『教育の方法と技術』(西之園晴夫・宮寺晃夫編著 ミネルヴァ書房 2004年)(第2章 pp31-55)
  3. 「情報化時代の教育課程の在り方 −新たな学校文化を創造するために−」『現代カリキュラム研究 −学校におけるカリキュラム開発の課題と方法−』(山口 満編著)学文社 2001(第3部 現代社会とカリキュラム開発、11章 pp138-151)
  4. 「教育工学からみた質的授業研究」『質的研究法による授業研究 −教育学、教育工学、心理学からのアプローチ−』(平山満義編著 北大路書房 1997年)(第2部 pp123-181)