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 このプロジェクトでは,バーンアウトという概念を用いて,集団構成員のやる気やコミットメントの減衰を阻止するために有益な知見を提供することを目的としています。 2009年第一回の打ち合わせを開催しました。現在,関連研究の意識調査を実施中です。調査票を受け取られた方は,ご協力お願いします。

 いかに構成員を守りながら,生産的な集団を維持するか。いかに構成員のバーンアウトを防ぐかという点について,実証的に考えます。以下,部分的に詳細な説明を記します。

【研究の枠組みにおける“接近型”と“回避型”】

・接近型研究のメリット・デメリット
 従来の心理学的な研究では,やる気やコミットメントについて検討する際,“モチベーション”という概念を用いたものが主流です。これは,基本的にモチベーションの上げ下げにつながる手法の開発などを目的に据えています。これらの研究の優れた点として,如何にやる気を上げさせるか,の知を提供する点があります。反対に,モチベーションの低下についても,知を提供する点でも,優れていると言えるでしょう。心理的な危機状態であるモチベーションの低下に,積極的に迫る,いわば“接近型”の研究であると言えます。

 また,過度なモチベーションの向上は時として,将来的なモチベーションの急落を招く要因としても考えられてきています。よって,モチベーションのバランスを取ることが大切である,といった,間接的(あまり現実的ではない)結論に達することがあります。よって,問題の根本的な解決につなげる知見の提供には結びつかないものもみられます。そもそも,モチベーションを操作するためには,対象者にある程度の動機付けが備わっていることが大前提となることもあります。

・回避型研究の必要性
 反対に,モチベーションの崩壊を防ぐための研究は,これまで(モチベーションの研究と比較して)相対的に少数の研究者によって研究されてきました。ネガティブな側面から迫る研究ですが,いわば“予防的”な研究を行うことで,より具体的な解決策の提案が可能となっています。このプロジェクトでは,バーンアウトという概念を用いて,集団構成員のやる気やコミットメントの減衰を阻止するために有益な知見を提供することを目的としています。

 理論をこねまわすような研究よりも,就労環境でどのようなことが発生するのか,実社会でどのような知見が必要かを最優先した研究を行います。理論研究を軽視するものではありませんが,社会還元しやすい研究を行うことを至上の目的として据えています。

Copyright 2006-2008 Takai Laboratory, Graduate School of Education and Human Development, Nagoya University