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専門領域について
Q どのようなきっかけでこの学問を始めたのですか?
自分自身の学校体験を通じて、学校や教育のあり方に疑問をもっていました。教師として教育現場で努力することも大切だと思いましたが、僕は、問題の焦点は教育制度や教育政策にあると思いました。そこで、まず法学部で政治学・憲法・行政法学びを、その後で教育学研究科(現在の教育発達科学研究科)で教育行政学を学ぼうと決めて名古屋大学に入学しました。

Q 現在の主要な研究の内容を教えてください
子ども・親の公教育に対する権利を制度的に保障する仕組みを構築することが、実践的に重要な課題だと思いますから、現在はこの点に研究の重点をおいています。具体的には、「教育における自治と参加」を実現するために、それを支える制度として教育情報公開制度に関心をもっています。教育参加を実現するためには、それなりの制度づくりとその制度を適切に運用する社会的合意づくりが必要だと思います。
また、教育・学校の問題は、国の教育制度と教育政策の問題として捉える視点が必要だと思います。現在は、中等教育−高等教育政策の研究が重要だと思いますから、少しずつ取り組んでいます。

Q 今までの研究で一番心に残っている出来事、ハプニングを教えてください
大学院生の頃、学校教育法の成立事情に関する共同研究に参加し、占領文書(英文)を読んでいました。その一つが「暗号で書かれている」「よほど重要なことが書かれているのだろう」と騒ぎになりました。興味津々見てみると、何のことはない、その文書をタイプしたGHQの職員が、左手がホームポジションから右にずれていることに気づかずタイプしただけのものでした。当時、共同研究グループでキーボードをブラインドタッチができるのは僕だけだったので発見できたので特別に重要な意味のある文章ではありませんでした。

Q 授業のねらい、背景を教えてください
学部の講義は、教育行政学・教育法学の基礎理論(学習権、教育自治、教育の地方自治など)と、現代的な諸問題(地方分権改革、規制改革・民間開放などの新自由主義教育政策、教科書検定制度)を取り上げて検討します。
ゼミは教育行政学の基本文献を読みつつ、各自の研究テーマを順次取り上げています。院生・教員留学生・内地留学の高校教員など参加者は多彩ですから、それを生かした相互の学び合いを大切にしたいと思っています。
大学院のゼミは文献講読を通じて教育行政学の最新の理論的課題に取り組んでいます。

Q 求められる学生像を教えてください、またその他なんでも結構です。
志を高くもっていただきたいです。「上昇志向」ということではなく。


指導生・受講生からひとこと
本年度の中嶋ゼミは、教育行政学研究室の院生だけでなく、現職教員の社会人院生や教育経営学・教育社会学・社会教育学を専攻する院生など、さまざまなメンバーで構成されています。ゼミの内容は、教育行政研究における基本文献の講読が中心です。
文献の見解に対し、教師としての経験に基づく意見や各メンバーの専攻領域からの意見などが出され、教育行政研究の枠に縛られることなく自由な議論が行われています。また、最新の教育行政の動向や学校運営の実際についての議論に発展することも多く、それらに対する中嶋先生の見解をいちはやく得られることも、ゼミの楽しみの一つです。