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学部 生涯教育開発コース 選必Ⅱ2単位 春学期火3
担当教員 江頭
EGASHIRA
科目名 EDUED3115J 教育社会史演習Ⅰ
Seminar on history of education Ⅰ
対象学年 3年以上 他学部受講 不可
時間割コード 0221322
概要/Outline 教育史上に名を残した多くの教育者たちは、書物の形で自らの思想を後世に残しただけではなく、教具や玩具の形でも自らの思想を後世に残したと言えます。本授業は、そうした教具・玩具に焦点を当てた演習で、関連する文献(日本語)を検討しながら自由に議論することを柱としています。なお、この演習の内容は、幼児教育と比較的親和性が高いです。
 具体的には、以下のようなテーマを予定しています。①幼児教育の一つの源流である、イギリスの教育者サミュエル・ウィルダースピンが開講したスパイタルフィールズ幼児学校で取り入れた教具。②幼稚園の創始者であるドイツの教育者フリードリヒ・フレーベルが子どもの活動衝動を育むために開発した恩物と、恩物の教条主義化などのその後の恩物の展開。③イタリアの教育者マリア・モンテッソーリが考案した五領域に亘るモンテッソーリ教具と、知的障害教育の祖であるフランスのエドワード・セガンが考案したセガン教具のモンテッソーリ教具への影響。④ドイツのヴァイマル期に花開き、建築やデザインなどの分野で多大な影響を与えた造形学校バウハウスにおいて考案された、バウシュピールなどのバウハウスの理念に基づいた玩具。⑤1919年に自由ヴァルドルフ学校を開いたルドルフ・シュタイナーの教育思想を背景として後世において作られた、ヴァルドルフ人形を始めとする一連の玩具。⑥ロシア・旧ソ連の教育者ボリス・パーブロヴィチ・ニキーチン夫妻が知育遊びを実践するために考案したニキーチン積木。
 本授業では現在は入手できない教具・玩具も取り上げますが、多くは21世紀の現在でも使用されていますので、可能な限り現物を準備し、実際に受講生の皆さんに教具・玩具を体験して頂く予定です。それから、授業の内容に少しでも関心を持って頂くために、内容に関わって授業担当者が撮影した写真も適宜提示します。
到達目標/Objectives 西洋の教育史の中で考案された教具・玩具に込められた教育観および子ども観や、子どもと教具・玩具との関わりについて、歴史的に考察する視野を得ることを到達目標とします。
授業の内容/Contents 毎回報告者を決め、報告者による文献の要約ならびにそこから導き出される論点を基にしながら、受講者全員(あるいはグループ単位)で自由に議論をしていきます。なお、検討する文献は日本語の文献とします。
01.オリエンテーション
02.ウィルダースピンと教具
03.フレーベルと恩物①ー第1~第2恩物ー
04.フレーベルと恩物②ー第3~第6恩物ー
05.マリア・ベルテによる恩物の発展
06.アンナ・ブライアンの恩物批判
07.パティ・スミス・ヒルと大型積木08.セガンとセガン教具
09.モンテッソーリとモンテッソーリ教具①ー日常生活・感覚ー
10.モンテッソーリとモンテッソーリ教具②ー言語・算数・文化ー
11.バウハウスにおける近代デザイン
12.バウハウスとバウシュピール
13.シュタイナー教育とヴァルドルフ人形
14.ニキーチン夫妻とニキーチン積木15.授業のまとめ
教科書/Textbook 検討する文献を担当教員の方で準備します。
参考書・参考資料/References 授業の中で適宜紹介します。
成績評価方法/Evaluation 報告の内容(30%)、毎回の討論への参加状況(50%)、小レポート(20%)で評価します。
履修条件/Conditions 「教育社会史」というタイトルですが、歴史的な内容に特化したものというよりも、むしろ「おもちゃ」に焦点を当てた授業です。そのため、歴史に全く関心がない方や、日本史は嫌いではないが世界史は嫌いだという方の受講も大いに歓迎します。
その他の注意/Remarks 特にありません。