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学部 選必Ⅱ2単位 秋学期木2
担当教員 江頭
Egashira
科目名 教育社会史演習Ⅱ
Seminar on Social History of Education 2
対象学年 3年以上 他学部受講 不可
時間割コード 0211312
概要/Outline 本授業では、主に18~19世紀のヨーロッパを主対象とし、当時の子どもたちに焦点を当てます。アリエスによっても明らかにされていますが、当時のヨーロッパでは、子どもは1人の人格をもった人間であると共に大人とは異なった「子ども」という固有の特性をもった存在であるという認識が形成されていった時代です。しかしその一方で、子どもは大人によって自由に形成することができると共に、厳しく処罰もされなければならない存在であるという認識もまだ強く見られました。またそれらの認識を反映して、子どもの保護や救済に向けた動向や政策も強く現れるようになった一方で、保護や救済とは無縁に子どもへの処遇がなされてもいました。本授業では、こうした当時の子どもに対する認識や処遇のせめぎ合いについて、関連する文献(日本語)を講読しながら自由に議論します。そしてそのことを通して、西洋の教育史や子どもの歴史に関する専門的知識を習得するとともに、現在の私たちの子ども観について省察していくことを目的とします。
This course deals with the view on chilrden in the 18th century to 19th century in Western countries, foucusing on foundling, child labor and corporal punishment etc. And this course aims to improve the specialized knowledge about the history of education and children in Western countries and to encourage reflection to one's own the view on chilrden.
到達目標/Objectives 次の2点を到達目標とします。
1.西洋における18~19世紀の子ども巡る状況について理解することができる。
2.子ども観について歴史的に考察することを通して、私たち自身の子ども観について改めて深い省察をすることができる。
授業の内容/Contents 最初に、フランスの歴史家P.アリエスの「子ども期の発見」について検討します。
 続いて、子どもたちが直面した困難に焦点を当てますが、とりわけ産業革命期に安価な労働者として子どもたちが用いられ酷使された児童労働の問題や、歴史の陰に隠れがちな捨子や孤児の問題について検討します。ちなみに2007年に熊本市で「こうのとりのゆりかご」(いわゆる「赤ちゃんポスト」)が設置され、様々な議論を呼びながらも今日に至っていますが、その原型となるものは中世のイタリアにさかのぼるとされます。すなわち、ヨーロッパの歴史に目を向けることは、今日的な問題について考えることと深い関わりをもっていると言えます。
 最後に、子どもが直面した教育上の問題として、子どもの発達への意図的な介入といえる早期教育の問題や、「原罪」の考え方にも裏打ちされた家庭や学校での子どもへの体罰の問題について検討します。究極的なまでの規律をもって子どもの発達への介入を行った医師シュレーバーの教育についても取り上げます。
 15回のスケジュールは次の通りです。
01.オリエンテーション
02.子ども観について①
03.子ども観について②
04.児童労働の中の子どもたち①
05.児童労働の中の子どもたち②
06.児童労働の中の子どもたち③
07.捨てられた子どもたち①
08.捨てられた子どもたち②
09.捨てられた子どもたち③
10.発達への介入と早期教育①
11.発達への介入と早期教育②
12.発達への介入と早期教育③
13.子どもたちへの体罰①
14.子どもたちへの体罰②
15.授業のまとめ
教科書/Textbook 主題に関する検討文献を授業中に配布します。
参考書・参考資料/References 参考書・参考資料は授業中に適宜紹介します。
成績評価方法/Evaluation 本授業では次の方法で評価します。
・報告の内容(30%)
・討論への参加状況(40%)
・小レポート(30%)
100点満点で総点60点以上を合格とします。
履修条件/Conditions 履修条件は特に要しません。
その他の注意/Remarks 特にありません。