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学部 選必Ⅱ2単位 春学期火3
担当教員 江頭
Egashira
科目名 教育社会史演習Ⅰ
Seminar on Social History of Education 1
対象学年 3年以上 他学部受講 不可
時間割コード 0221322
概要/Outline 教育史上に名を残した多くの教育者たちは、自らの思想を、書物の形だけではなく、教具や玩具の形でも後世に伝えました。本授業は、そうした教具・玩具に焦点を当てた演習で、関連する文献(日本語)を講読しながら自由に議論を展開させていきます。そしてそのことを通して、西洋の教育史や子どもの歴史に関する専門的知識を習得するとともに、教具や玩具に対する創造的な見方を培うことを目的とします。
This course deals with teaching tools and toys that famous historical figures devised. And this course aims to improve the specialized knowledge about the history of education and children in Westerrn countries and the creative thinking to teaching tools and toys. 
到達目標/Objectives 以下の2点を到達目標とします。
1.西洋において考案された教具や玩具に込められた教育観および子ども観について理解できるようになる。
2.子どもと教具・玩具との関わりについて歴史的に検討することを通して、教具や玩具に対する創造的な見方を得ることができる。
授業の内容/Contents 本授業では次のようなテーマを取り上げます。
①幼児教育の一つの源流であるイギリスの教育者ウィルダースピンが1819年に開校したスパイタルフィールズ幼児学校で取り入れた教具。
②幼稚園の創始者であるドイツの教育者フレーベルが子どもの活動衝動を育むために開発した恩物と、恩物の教条主義化などのその後の恩物の展開。
③イタリアの教育者モンテッソーリが考案したモンテッソーリ教具や、知的障害教育の祖であるフランスの教育者セガンが考案した教具がモンテーッソーリ教具に与えた影響。
④ドイツのヴァイマル期に花開き、建築やデザインなどの分野で多大な影響を与えた造形学校バウハウスにおいて考案された、バウシュピール等のバウハウスの理念に基づいた玩具。
⑤1919年に自由ヴァルドルフ学校を設立したシュタイナーの教育思想を背景として後世において作られた、ヴァルドルフ人形を始めとする一連の玩具。⑥ロシア・旧ソ連の教育者ニキーチン夫妻が知育遊びを実践するために考案したニキーチン積木。
 本授業では現在は入手できない教具や玩具も取り上げますが、その多くが実際に今日でも使用されていますので、可能な限り現物を準備して、実際に受講者の皆さんに教具・玩具を体験して頂く予定です。それから、内容に関わって授業担当者が撮影した写真も適宜提示します。
 具体的な15回のスケジュールは次の通りです。
01.オリエンテーション
02.ウィルダースピンと教具
03.フレーベルと恩物①-第1~第2恩物を中心に-
04.フレーベルと恩物②-第3~第6恩物を中心に-
05.ベルテによる恩物利用の発展
06.ブライアンによる恩物批判
07.セガンと教具
08.モンテッソーリと教具①-日常生活の訓練・感覚教育を中心に-
09.モンテッソーリと教具②-言語教育・算数教育・文化教育を中心に-
10.セガン教具とモンテッソーリ教具の関係
11.バウハウスとモダンデザイン
12.バウハウスで考案された玩具
13.シュタイナーの教育思想を背景とした玩具
14.ニキーチン夫妻とニキーチン積木
15.まとめ
教科書/Textbook 主題に関する検討文献を授業中に配布します。
参考書・参考資料/References 参考書・参考資料は授業中に適宜紹介します。
成績評価方法/Evaluation 本授業では次の方法で評価します。
・報告の内容(30%)
・討論への参加状況(40%)
・小レポート(30%)
100点満点で総点60点以上を合格とします。
履修条件/Conditions 履修条件は特に要しません。また、「教育社会史」というタイトルの授業ですが、歴史的な内容に特化したものではなく、むしろ「おもちゃ」に焦点を当てたものです。そのため歴史にはあまり関心がないという方の参加も歓迎します。
その他の注意/Remarks 特にありません。