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学部 必修2単位 春学期水1
担当教員 服部・中谷
Hattori & Nakaya
科目名 人間発達科学入門
Introduction to Human Developmental Sciences
対象学年 1年 他学部受講 不可
時間割コード 0213101
概要/Outline 本講義は、教育発達科学の入門講義として、人間の成長や発達、教育と学習の理論と実践、および教育心理学に関する基礎的な事柄について学び、人類と社会の調和的発展とウェルビーイングに貢献できる能力の育むための基礎知識を身につけることを目的とする。講義では、生涯にわたる人間の成長や発達、および教育や学習の過程を、社会文化的、歴史的、制度政策的、教育心理学的、臨床心理学的な観点から検討し、さらに教育内容や諸外国との比較分析をも含めて、総合的に考察する。
The purpose of this course is to introduce basic knowledge related to human development, theory and practice of pedagogy and learning, and educational science and psychology as Introduction to Human Development Sciences. By attending this course, students can acquire basic ability to contribute to the development dan well-being for human being and our society. In this course, students learn and discuss about human development and learning from different perspective such as socio-cultural, historical, psychological, and clinical psychological perspective.
到達目標/Objectives この授業では、次の知識を身につけることを目標とする。
1.人間の成長や発達、教育と学習の理論と実践、および教育心理学に関する基礎的な事柄について学び、自身の関心に引き寄せて考えることができる。
知見と方法を総合的に学び、豊かな視点を身につけることができる。
2.人間の成長発達と教育をめぐるさまざまな問題を研究の対象とする教育発達科学の基本的テーマ、概念、研究課題などについて学習し、批判的に論じたりすることができる。
授業の内容/Contents 前半は、心理学系の講義となります。以下の担当者とテーマを予定しています。

4月15日(水) 中谷素之 ガイダンス 心理学とは
「こころ」を科学するとは、どんなことでしょうか。そして「こころ」を知るには、どうすればよいでしょうか。心理学を学ぶ意義や目的について考えます。

4月22日(水) 五十嵐 祐 社会の中の「こころ」
私たち人間の考え方や行動は、個人を取り巻く社会や集団とのかかわりの中でさまざまに変化します。個人の「こころ」がもつ社会的な側面について、一緒に考えてみましょう。

5月13日(水) 田附紘平 心の多層性‐臨床心理学の視点から‐
これまで自分の気持ちが矛盾している、あるいはよくわからないと感じたことはありませんか。そうした心の不可解さと奥深さについて、心の多層性に着目しながら臨床心理学の立場からお話してみたいと思います。

5月20日(水) 光永悠彦 「心を測ることについて」
心理学では、質問紙やテストといった方法を用いて、人間の行動やふるまいを、さまざまな角度から測ろうとしてきました。心を測る方法やその限界について、計量心理学やテスト理論の知見に触れながら、その初歩をお話しします。

5月27日(水) 野村あすか 子どものこころを支えるために
子どもの「こころ」を理解し援助していくためには、どのような視点や姿勢が求められるでしょうか。学校現場での事例をもとに考えてみたいと思います。

6月3日(水) 金井篤子 リーダーシップとメンバーシップ
人が集まって何かをしようとするとき、リーダーシップがとても重要な働きをします。皆さんに身近な例もひきながら、リーダーシップとは何かについて考えます。

6月10日(水) 金子一史 遊戯療法
心理的な問題を抱えている子どもに対して、専門的な支援方法の一つである遊戯療法についてお話しします。

後半は、教育学系の講義となり、服部美奈が担当します。とくに文化との関わりやグローバルな観点から教育を論じます。
6月17日 「総論:国や文化による教育の違いに気づくこと」 自分たちが受けてきた日本の教育は「普通」なのでしょうか。他の国々との教育制度の違いや、文化による教育に対する考え方の違いを学び、日本の教育を異なる視点から眺めてみることの面白さに気づきます。
6月24日 「異なる人間観と教育」 ひとはなぜ生きているのでしょう。ひととはどのような存在なのでしょう。文化や宗教によって、ひとに対するとらえ方は異なります。そして教育という営みは文化や宗教から深い影響を受けています。文化や宗教が教育にあたえる影響に気づきます。
7月01日 「道徳と価値の多様性」 社会の調和のためにはある程度、共通の道徳や価値をもつことが必要です。一方で、価値や道徳に対する考え方には多様性があります。学校教育のなかでいかに共通性と多様性を調整すればよいのでしょう。ひとが共存するために教育が果たす役割を考えます。
7月08日 「母語と教授言語」 学校で先生は何語で教えるのか。教科書は何語で書かれているのか。学校で用いられる教授言語は母語や国語とは限りません。教授言語は教育のあり方に大きな影響を与えます。言語と教育の問題について学ぶことで、世界の教育の違いに気づきます。
7月15日 「植民地と教育」 植民地支配は遠い昔のことでしょうか。植民地支配を受けた国々の教育には現在も光と影のように旧宗主国の影響がみられます。それはたとえば試験制度、カリキュラム、教授言語にみることができます。歴史をさかのぼって現在の教育をみることの重要性に気づきます。
7月22日 「越境する教育」 ある地域の教育プログラムが国境を越え、商品のように取引される時代がきています。また国際学力調査の影響により、各国の教育に対する評価が生み出され、「よい」とされる教育が国境を越えて影響を与えるようになりました。その新しい現象を学びます。
7月29日予備(?)「日本のなかの異文化と教育」 日本の教育が異文化とどのように向き合うか。今真剣に考えなければならない時期にきています。海外にルーツをもつ子どもたちを受け入れ、ともに学校で学ぶことの楽しさと難しさについて考えます。
教科書/Textbook 授業内で適宜資料を配布する。
参考書・参考資料/References 必要に応じて、授業内に参考文献を指示する。
成績評価方法/Evaluation (評価の方法)
本授業では、出席と毎回の授業内の小レポートで評価する。
1.毎回の小レポートは、授業の内容についての理解度、および授業の内容をふまえ、自身の関心に引き寄せて考えることができているかどうかを評価する。
2.毎回の小レポートの評価を集計し、総合的に評価する。
(評価の基準)
総点60点以上を合格とする。
履修条件/Conditions 履修条件は要さない。
その他の注意/Remarks